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人間ドックや健康診断の結果表の見方、精密検査の受診先について—医師が詳しく解説

人間ドックや健康診断の結果表は、ご自身の健康状態を把握するための重要な情報源です。
生活習慣病など目に見えない病気の兆候がないか、前回の結果表と比較して、数値の変化はないかを確認することが大切です。結果表がお手元に届いたら、判定区分や検査値をしっかり確認しましょう。
本記事では、結果表や判定区分の見方、再検査や精密検査が必要になった場合の受診先について、haloクリニック小倉の大渕院長が詳しく解説いたします。

 

検査結果の判定区分について

 

検査結果表を受け取った際は、まず記載されている判定結果を確認することが重要です。一般的に、健康診断の結果判定は各検査項目に「A」「B」といったアルファベットで示されることが多いです。

 

当院では判定区分を、A~Eの5段階で表示しています。

A:異常は認められません

B:軽度の異常はありますが、⽇常⽣活に⽀障はありません

C:⽇常⽣活に注意し経過観察をしてください。症状があれば受診してください

D:精密検査が必要です

E:治療を継続してください

「A」は異常なし

 

「B」は、結果の数値が基準範囲をわずかに超えているものの、関連した自覚症状が無ければ、治療や精密検査の必要がない軽度の異常、または精密検査などの必要が無いと判断された良性の変化を示します。

 

「C」は、日常生活に気を配りつつ経過観察するべき状態です。もし関連した自覚症状があれば、医療機関を受診してくださいという判定になります。
例えば、血糖値が基準値を少し超えた場合は直ちに治療が必要というわけではありませんが、生活習慣の見直しが求められます。
また、エコー検査で良性の所見が確認されている場合は「サイズが大きくなるなどの変化がある可能性があるため定期的な経過観察が推奨されます。1年や半年に1回の経過観察をしてその結果によってはその次の段階の検査が必要です。」という判断が要経過観察「C」となっています。

 

「D」判定は、受診して何らかの精密検査や治療を要する可能性がある所見です。早急に受診することが推奨されます。
すみやかに、もしくは1ヶ月以内に医療機関で精密検査をしてください。

「D」判定をそのまま放置されていると、早期発見のはずが手遅れになってしまう危険性もあります。
また、D判定のため再検査を再検査で異常がないと診断された翌年の健康診断で、またD判定になることがあります。健康診断は外来の医師が経過を見ながら診療していくものではありませんから、毎年新しいものとして検査・診察をしていきます。そのため毎年D判定になるからと決めてしまわずにその都度受診して医師の判断を仰いでください。

 

「E」判定は、すでに治療済みと申告をしていただいていると、そのまま治療を継続してくださいという意味です。E判定は治療を継続されていれば問題ありません。

 

 

再検査・精密検査はどこで受けるべきか?何科を受診すればよいか?

D判定で精密検査を受ける時、どの診療科を受診すればよいのでしょうか?

一般的に、メタボリック症候群に関連する血糖・コレステロール・中性脂肪・血圧の異常は、内科を受診してください。
胸部レントゲンで異常を指摘された場合、次に行う検査としては胸部CTが一般的であり、CTの設備などが整っている医療機関の呼吸器内科を受診することが推奨されます。心電図に異常が認められた場合には、循環器内科での精密検査が必要です。受診先がわからない場合は健康診断を受けた医療機関相談してください。
当院では、できる限り結果表に「何科を受診すべきか」を記載するように努めておりますので、その指示に従って受診してください。

 

 

メタボリックシンドローム判定について

次にメタボリックシンドロームの診断基準について説明します。
メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積を基準に判断されますが、診断にあたっては腹囲(おへそ周りのサイズ)が重要な指標となります。男性の場合は85cm以上、女性は90cm以上でメタボリックシンドロームのリスクが高まります。女性の基準値が男性よりも高い理由は、女性は皮下脂肪が多いため腹囲が大きくなる傾向があるためです。内蔵脂肪が蓄積することでメタボリックシンドロームと判定されますが、女性の場合は皮下脂肪と内臓脂肪の割合が男性と異なるため、男性よりも基準値が大きくなっています。

腹囲に加え、血圧・脂質・血糖値のうち2つ以上が基準値を超えると、メタボリックシンドロームと判断されます。

  1. ・血圧:130/85以上
  2. ・中性脂肪:150mg/dL以上、善玉コレステロール(HDL)が40mg/dL未満
  3. ・空腹時血糖値:110mg/dL以上、1~2ヶ月の血糖値の平均を表すHbA1cが5.5%以上

3つのうちの1つが基準値を超えた場合は、メタボリックシンドローム予備軍とされ、保健指導などを受け、生活習慣を改善して経過観察をしていきます。

 

 

メッセージ

 

健康診断では、メタボリックシンドロームを含めた皆さんの健康状態を確認することができます。職場での健診がある方は、年一回の定期診断を必ず受けるようにしてください。また、職場健診がない方や主婦の方は、市町村や北九州市が提供する特定健診を活用し、1年に1回の健康管理を行っていただければと思います。